「初心者専用ゴルフスクール」誕生物語

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ゴルフを始める人に必要だったのは
「スコアを伸ばすスクール」ではなく、「ゴルフが好きになる」スクール。

初心者に必要なのは、
まずボールに当てる事。

丹澤 二人はもともと、中・上級者を相手に教えてきたわけだけど、ウチが初心者のためのゴルフスクールに転換した時、戸惑いみたいのはあったの?

城内 スコア70台の人をさらに伸ばすのが、インストラクターの腕という時代だったので、始めはプライドが許さなかったですね(笑)。初心者に教えてインストラクターと言えるの?なんて仲間にからかわれたりして…。もっとも、最近流行りはじめたのを見て「さすが、先見の明があったな!」などと、逆に尊敬されていますけどね(笑)。

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羽生 それまでのゴルフスクールはいかに曲げないか、いかに飛ばすかを教える場所だったんです。ある程度上手い人がさらにスコアを伸ばすためにやって来る場所ですね。私たちインストラクターもそれでいいと思い込んでいた。でも、初心者に必要なのはまずボールに当てる事だったんです。そこに気付いた私は、ボールに当てるためにはどうしたらいいかを真剣に考えました。曲げずに飛ばすための教科書は山ほどあるけど、初心者の皆さんが確実にボールに当てる方法はどこにも書いていない。だから、手探りで独自の理論を導き出す以外にない。力のない女性でも確実にボールに当てる腕の使い方などの研究に没頭する毎日で、新しいことをしている感覚が楽しかったですよ。

城内 一般のゴルフスクールでは飛距離を出すために「ダウンブロー」を教えたりしますよね。「手元と体を同調させて、1、2、3で打つ」みたいに高度な技術を教え込む。でも、あれって初心者には何の意味もなくて、むしろ、自信を無くしてゴルフ嫌いにしてしまう心配すらある…。ダウンブローは上手くなってから覚えればいいんです。ウチではまず「腕を縦に使って、上げて、下ろす」というボールへの当て方から教えます。他にはないウチ独自の理論なんです。

ボールに当たるようになったら、
即コースデビュー。

羽生 体の左右の動きと腕の上げ下げだけを覚えれば、力のない女性でも確実にボールに当てることができるようになります。ボールに当たれば単純に楽しい。楽しくなったらすぐにコースに出て、今度はコースの楽しさ、気持ちよさを味わってもらう。自然の中でプレーするのは本当に気持ちのいいものですからね。傾斜や芝の状態、天候の影響など、スクールや打ちっぱなしでは決して味わえない“ゴルフの醍醐味と奥深さ”を体験してもらうわけです。

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丹澤 確かに、ウチでは最速6回のレッスンでコースデビューできるからね。他のゴルフスクールは上手くなってからのコースデビューという考え方だから、勘のいい人でも3か月くらいかかるのが普通。何も、プロを目指すわけでないのだから、そこまでストイックになる必要はないよね。まずゴルフを好きになる事。それが上達への大切な第一歩だと思うよね。

城内 そうなんです。ゴルフは自然の中で楽しむものなんだから、早くその素晴らしさを体験することが大事。でも、初心者がいきなりコースに立って周囲に迷惑を掛けないかと気後れする方もいる。そこでウチでは、コースを貸し切って初心者同士でコースを回るスタイルを編み出したわけです。初心者にはクラブハウスの使い方や、コースを回る際のルールやマナー、エチケットなど、分からない点も多いもの。そういう、ごく初歩的な点についても丁寧に教え、また気軽に質問してもらえるのも、初心者だけでコースを回る大きなメリットですよね。

「一打目はなぜドライバーで打つの?」
という質問に答えられず…

丹澤 本当に大切な事だよね。ところで、ゴルフを始めたばかりの皆さんと実際にコースを回ってみて、中・上級者では感じた事のなかった、思わぬ発見や驚きなどはあったの?

羽生 中・上級者の場合、あの位置にボールを運ぶにはどう打てばよいかという「技術」を聞かれます。しかし、初心者の方はそもそも「どこへ打てばいいか」が分からない。広いゴルフ場で、今どこにいるのかさえ分からなくなっている方は案外多いんです。つまり、コースの攻略方法ではなく、まずは回り方を知りたいというか。

城内 僕の場合は、初心者の皆さんとコースに立った時「どうしてティーを挿すんですか?」「一打目はなぜドライバーで打つのですか?」と聞かれたことがありました(笑)。あまりに初歩的な質問のため頭がこんがらがり、咄嗟には答えられなかったのを覚えています。今なら、ボールを打つ前はプレーが始まっていないので、ボールに触れていいしティーを挿してもいい(挿さないで打ってもいい)、ティーアップして打つにはドライバーが一番飛ぶので一打目はドライバーで打つんですよ、と説明していますが、当時は答えに窮してしまったものです。でも、考えてみたら初心者の皆さんが知りたいことってそういうところなんですよね。フォームやコースの攻め方以前に、ティーの挿し方とか、どこで着替えるのか、とか。

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初心者ゴルファーの9割が
自己流でゴルフを始めていた。

丹澤 確かにそうだよね。それまでは中・上級者ばかりに目が行っていたので、レッスン生はゴルフの事は一通り知っているのが当たり前という思い込みが教える側にあって、初心者に丁寧に教えるという視点が欠けていた。初めて車を運転しようという人のためには自動車教習所があって、運転に必要な知識と技術を1から教えてくれる。でも、ゴルフの場合はこの自動車教習所にあたる場所がなかったんだよね。あったのはプロのレーサーを育てる施設だけで、そんなところに初心者が入学してもついていけないのと同じで、ゴルフ入門者は今までのゴルフスクールに戸惑っていたんだよね。

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羽生 同感ですね。入門者がまず通う自動車教習所にあたる施設がなかったから、これまでは本を読んだり経験者に教わったりしながら自己流でゴルフを学んできた人が多かったんです。実際は初心者ゴルファーの9割がレッスンを受けずに自己流でゴルフを始めているとか。これって、大変な遠回りをしているわけで、相当な時間とお金の無駄ですよね。

どのインストラクターでも均質なレッスン。

丹澤 一般のゴルフスクールとウチとで一番の違いを挙げるとしたら何だろうね?

羽生 まず、実際にコースを回る上で周囲に迷惑を掛けたり、恥をかいたりしないよう、最低限の知識と技術を身に付けることを重視している事じゃないですか。たとえば、レッスンのクリア条件に「6ホールを6人で2時間以内に回る」「9ホールを2時間以内に回る」といった時間の制限があり、これは、スコア120ぐらいの男性でもギリギリの水準。プライベートでゴルフに行くなら最低このぐらいの水準に達していないと周囲に迷惑を掛けることになる。つまりゴルフで恥をかかないということを重視したわけです。

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城内 それに、いろんなインストラクターに教えてもらえるようにしているのも、大きな違いですよね。昔は、一人の先生に教えてもらうのが上達の秘訣みたいな“都市伝説”があったけど、インストラクター一人一人には得手不得手は確かにある。たくさんのインストラクターからそれぞれの得意な部分を学んだ方が、総合的に上達が早くなるというのが私たちの実感ですよね。

丹澤 確かに。それと特定のインストラクターのレッスンを受けようとしたら、時間を合わせるのにも苦労するよね。でも複数のインストラクターからレッスンが受けられるのなら、気軽に立ち寄って学ぶことができる。忙しい時代だからこそ、時間を有効に使うという意味でも、どのインストラクターに教えてもらっても均質なレッスンを受けられることは大切な事で、今後スクールが増えていってもお客様からずっと評価してもらえるように、努力をつづけてゆきたいポイントなんだよね。

レッスン自体が、
楽しく気持ちいいのが当たり前。

丹澤 昔のゴルフスクールはインストラクター一人一人の個人商店が集まった感じだったわけだよね。つまりインストラクターでなくて先生だった。そういう背景があったからか、この業界は正直なところ、サービス業としての自覚とクオリティはまだまだと感じるところがあります。挨拶をするとか、お客様に目配り・気配りをするとか、そんな基本ができていないところは残念ながら少なくない…。ウチは、業者さんからも「空気が気持ちいい」なんて言っていただけるけれど、それは、本当はサービス業として当たり前のことを追及しているだけだと思うんだよね。

城内 そう、うちが特別ではだめ。空気が気持ちいいのが当たり前の業界にならなくちゃいけないんです。簡単に言えば、レストランや美容室のような居心地の良い空間でなくてはいけない。だから、インテリアは白を基調にして明るくし、ハンドクリームなんかも置いているんです。またトイレも女性の方が広いし、置いてあるものもグッと充実しています。

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羽生 よそでは雑誌と言えばゴルフ雑誌ばかりですが、ウチでは一般誌やファッション誌などを置いているのも違いのひとつ。それに専門用語は極力使わない。皆さんは決してプロを目指しているのではなく、コースに出ても迷惑をかけない程度の知識と技術を身に付け、ゴルフを楽しみたいわけですからね。レッスンに来ること自体が楽しく、気持ちの良い時間であるのが当たり前だと思うんです。

ゴルフを一生の趣味にしてほしい。

丹澤 「初心者のためのゴルフスクール」という新規事業の創造には一応成功したと思うけど、これからもっとこうしたいとか、目標みたいなものはあるのかな?

城内 そうですね、一人でも多くの人にゴルフを好きになってもらいたいですね。ゴルフを一生の趣味にする、その入り口になれれば幸せですね。

羽生 私は、すべての人にゴルフを始めてほしいですね。ゴルフを始めていない人には始められない壁があるんだと思うんです。時間がない、経済的余裕がない、体に不安がある…そんな壁を私たちの努力と工夫によって一つ一つ取り払う事で、誰もがゴルフを楽しむ国にしたいと思っています。

丹澤 なるほど、面白いね。私の場合は、ゴルフを通じてもっともっと素晴らしい人の出会いをお手伝いしたいと考えている。ゴルフには普段出会えない人と知り合いになれる良さがあるよね。プレーを通じて、これだけ人と知り合えるスポーツは他にない。人との出会いは人生を変える。つまり、ゴルフは新しい人生を拓くスポーツだと思うわけ。だからゴルフを通じて、一人でも多くの皆さんが新しい人生を手に入れてくれること、それが私のこれからの夢なんだよ。

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